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ワインケラーでの仕事

ぶどうの破砕
ぶどうの破砕 畑で収穫されたぶどう達は、収穫後直ちに醸造所に運ばれます。写真のような小さい容器によって運ばれると、葡萄は自分の重さでつぶれることも少なく、健全な状態で運ばれます。
収穫の時期は、小さな子供も進んで作業を手伝います。
搬入されたぶどうは、圧搾する前に、搾りやすくするために破砕されます。この時にはぶどうの粒はつぶれても、種や果梗つぶれて、苦みの成分が抽出されないように機械を調節します。今日では、圧搾されたぶどうジュースに含まれるおりを少なくするために、ぶどうを破砕せず、丸のまま圧搾する醸造所もあります。
ぶどうは、ドイツ語でTrauben(トラオベン)ですが、この破砕されたもろみ状のものは、Maische(マイシェ)と呼ばれます。

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ぶどうの圧搾
ぶどうの圧搾 破砕されたぶどうは次に、圧搾されます。写真の圧搾機は空圧式膜圧搾です。円柱を横にした形の圧搾機の内側に張られた膜が、空気によってふくらまされ、ぶどうを内壁に押し付け圧搾します。この横置きの円柱型ボディーは、回転することができ、圧搾で固まったぶどうを崩し、圧搾、回転を繰り返すことで、まんべんなくぶどうを圧搾することが出来ます。

今までの圧搾機はぶどうに高圧をかけていましたが、この圧搾機では2バールまでの低圧で搾る事ができ、ぶどうの種や果梗を傷つけることなくジュースを得ることが出来ます。

圧搾されたぶどうジュースは、ドイツ語でMost(モスト)と呼ばれます。
モストは、背の高いタンクにとりあえず入れられます。そのタンクの中に数時間から一夜置かれることにより、おりはタンクの下にたまり、モストは清澄されます。清澄されたモストは樽に入れられ、発酵が始まります。

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ぶどうジュースを調べる
ぶどうジュースを調べる 写真は、圧搾されたブドウジュース、Most(モスト)に含まれる総酸数を調べているところ。

写真右端にある筒状の容器に入っている液体は、圧搾直後のモストです。

容器の中に浮いている温度計の様なものは、エクスレ比重計といいます。これでモストの糖度を計ります。

ドイツワインのクラスは、このモストに含まれる糖度で決まります。ですからこの作業は、ぶどうを収穫した後の、最も楽しく、緊張する瞬間であると言えます。

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ワインのオリ引き

ワインのオリ引き 収穫が終わると、ケラーの中は発酵管(樽の上部に取り付けられる、発酵時に発生する二酸化炭素を外に出すための管)の奏でるKellremusik(ケラームジーク:ケラーの音楽) がポコポコと鳴り響きます。

発酵が終了したワインは、酵母を取り除くためにオリ引きが行なわれます。

そのためには、樽側面下部に取り付けられた栓を、ホースをつなぐための蛇口のようなものに交換しなければなりません。しかし、樽の中はワインで満たされています。よって、瞬時に交換する技術が必要になります。

ワインのオリ引き 樽の中のワインが少なくなってくると、蛇口からホースは外され、オリが出てこないように慎重に樽が傾けられます。

樽から出てくるワインが、少しでも濁ったら素早く桶からホースを抜きます。

ワインのオリ引き オリ引きの終わった樽から、酵母を取り出しているところ。

クリーム色をしているのが、活動が終わり樽の底にたまった酵母。

この酵母からもSchnaps(シュナップス:蒸留酒)が造られます。通常、酵母を専門業者に委託してシュナップスを造ります。

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ワイン瓶の消毒
ワイン瓶の消毒 ワインの瓶詰めを行なう日は、早朝から大忙しです。 写真は、この日使用する瓶を亜硫酸(H2SO3) によって殺菌しているところです。
殺菌道具の、銀色の筒状の部分は、真ん中をゴムでさえぎられ、上と下に分かれています。上には亜硫酸水溶液が満たされており、下は水道とホースでつながれ、水が常時圧力をかけ、ゴムを上に押しています。
瓶を二本、口を下に向け、写真のようにして下にグッと押し付けると、水の圧力により亜硫酸が、霧状に瓶の中に発射されます。

この作業に使われる亜硫酸(H2SO3)の水溶液は、簡単に作ることが出来ます。ワインの酸化防止のために添加する二酸化硫黄(SO2、(無水)亜硫酸) は通常液化されガスボンベに入っています。そのボンベから、水の中にガスを噴出すれば、亜硫酸水溶液は出来上がります。

亜硫酸(SO2、二酸化硫黄)は、ワインの酸化を防ぐために古来から使用されています。また、亜硫酸は普段我々が口にする多くの食品類にも酸化防止剤として使われています。ですから、瓶詰めの際に、この亜硫酸が微量残留していても、もともと酸化防止の目的で添加されるものであるからまるで問題がありません。そのような点でも、他のものより優れていると言えるでしょう。 また亜硫酸は、最初から(天然に)微量はワインに含まれています。
ドイツワインには、亜硫酸とゾルビン酸(ワインの再発酵を防ぐ。殺菌技術の進んだ今日ほとんど使用されていない)だけが、添加することを許されています。

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瓶詰め用のフィルターを準備する
瓶詰め用のフィルターを準備する 瓶詰めの前にワインは消毒されます。例えば、甘口のワインに少しでも酵母が混じっていると、瓶詰めをした後に、瓶内で再発酵をしかねません。そのようなことを防ぐため、ワインは瓶詰め前に消毒用のフィルターにかけられます。
写真は、シートフィルターにフィルターシートをセットしているところです。シートには裏表があるので、間違えないように注意しなければなりません。シートの目の大きさは数種類あり、用途によって使い分けることが出来ます。瓶詰めのときは殺菌効果のある目の細かいものを使用します。

酵母や細菌は、ワイン中の様々な成分より大きいので、フィルターによりそれらは除去されます。 フィルターシートは、セットされた後、水蒸気によりワインの通る部分はすべて消毒されます。

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ワインの瓶詰め
ワインの瓶詰め 消毒された瓶、シートフィルターなど瓶詰めに必要なものは全てケラーに運び込まれます。

フィルターから、ホースを通ってワインが、Reihenabfueller(ライエンアプフュラー:直列瓶詰機)に送り込まれます。もちろん、ホースもこのアプフュラーも、ワインの通り道はすべて水蒸気によって消毒済みです。

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コルクを打ち込む
コルクを打ち込む この醸造所では、通常3人で瓶詰めの作業が行われます。

一人が瓶詰めをし、次の一人が瓶にコルクを打ち込みます。コルクを打ち付けられたワインは、写真手前の台車の付いたカゴに入れられ、最後の一人がそれを貯蔵場所に並べていきます。

750mlの瓶で、一時間に800~1000本近く瓶詰めできます。

生産量によっては、家族経営の醸造所でも、自動瓶詰め機を所有しているところもあります。

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ラベルを貼る
ラベルを貼る 大きな醸造所などでは、ほとんどの作業が機械化されていますが、この規模の小さな家族経営の醸造所では、ほとんどが手作業によって行なわれます。
ワインの瓶にラベルを貼る作業も、写真のように手作業で1本ずつ行われます。
ワインが貯蔵されるケラーの湿度は高いので、ラベルをつけたまま貯蔵してしまうと、かびたりしてしまいます。ですからラベルは、販売される前にはられます。

ワインのラベルのことを、ドイツではEtikett(エティケット)と呼びます。

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ワインの公的検査
ワインの公的検査 ドイツワインのQ.b.A.以上のクラスを市場に流通させるには、Amtliche Pruefungsnummer(アムトリッヒェ・プリューフングスヌマー:公的検査番号)を取得しなければなりません。この公的検査番号は通常、A.P.Nr.(アー・ぺー・ヌマー)の略称で呼ばれます。
このA.P.Nr.を取得するためには、まずワインは、その州が認めた分析所で分析されなければなりません。
分析値に問題がなければ、官能検査を受けることが出来ます。
写真は、コブレンツの農業会議所での官能試験の現場。
A.P.Nr.の官能検査では、検査されるワインの生産地域、ヴィンテージ、ぶどう品種、申請のクラス、辛口、中辛、もしくは甘口か、という情報が検査員に与えられます。
ワインの公的検査 検査されるワインは、まず最初に、その生産地域、ヴィンテージ、ぶどう品種、申請されたクラスとして問題がないかどうか、そして、ワインの色、透明度を審査されます。それら全てに問題が無ければ、香、味、ハーモニーに付いて、それぞれ0.5点刻みの5点満点で評価されます。そして、その三つの平均が出され、四人の検査員が採点した点の平均値が、そのワインの得点になります。1.5点以上獲得すると、そのワインにはA.P.Nr. が与えられます。
最後まで正確な検査が出来るように、検査員達はワインを必ず吐き出さなくてはなりません。
検査員の多くは、ワイン醸造農家の人達ですが、特別な訓練を受けなければ、検査員になれません。

この日は、官能検査の見学だけをさせて頂けると思っていたのですが、四人の検査員にまじって、検査を体験させて頂けました。
検査は、6種類づつ行なわれ、全部で50~60のワインが一度に検査されます。
通常検査は、クラスの低いものから順に、辛口のものから、甘口のものへという順序で行われます。

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