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ドイツワイン素朴な疑問

ドイツワインって、甘くてフルーティ。もしかしてサトウが入ってるの?
ドイツワインには大別すると、Tafelwien(ターフェルワイン)、Q.b.A.(クー・ベー・アー)、Praedikatswein(プレディカーツワイン)の3つのクラスがあります。このうち、Praedikatswein以外のワインには、ワイン法により、糖を添加することが許されています。 しかし、この糖分の添加は甘さをつけるためではありません。アルコールを強化するためだけに許されています。添加された糖分は全てアルコールに変わらなければなりませんので、この糖の添加により、ワインが甘くなることはありません。

アルコールというものは、酵母の作用により、果汁中の糖分から作り出されます。これをアルコール発酵といいます。
このアルコール発酵が最後まで終わると、出来上がったワインの中にはほとんど糖分がなくなるわけですから、辛口のワインが出来上がります。

反対に、アルコールの発酵が人為的もしくは自然に止まったときには、出来上がったワインの中には糖分が残り、甘口のワインが出来上がるのです。

ですから、ドイツワインには甘み付けのために砂糖は添加されていません。前述の通り、ドイツワインのPraedikatsweinにはアルコールを強化する目的のためでも、砂糖を添加することは許されていません。フランスなどのワインは辛口が多いので、誰も砂糖が添加されているとは思いもしませんが、フランスの何万円もする一流醸造所のワインにも、アルコールをあげるために、砂糖の添加は許されています。

甘口ワインの製造法としては、上記の方法のほかSuessreserve(ズースレゼルヴェ)を添加する方法があります。ズースレゼルヴェとは発酵する前のぶどうジュース(Most:モスト)のことです。技術の進歩のおかげで、微生物の管理が容易に行われるようになり、モストを発酵させずにリザーブしておくことが可能になったのです。

Q.b.A.以下の甘口にはズースレゼルヴェがよく使用されていますが、Praedikatswein(さらにKabinett, Spaetlese, Auslese, Beerenauslese, Eiswein, Trockenbeerenausuleseの6クラスに分類される)の高級な甘口ワインには、前者の発酵を止める製法が主に使われています。

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ドイツワインって、甘口しかないの?
ドイツワインと聞くと多くの方は、マドンナや、ブルーナンに代表されるLiebfraumilch(リープフラオミルヒ; Liebfrauenmilch:リープフラオエンミルヒとも言う)を思い出して、フルーティな甘口を連想すると思いますが、しっかりとした辛口ももちろんあります。

「ドイツワインって甘くてフルーティ。もしかしてサトウが入っているの?」の項でも少し触れたズースレゼルヴェの技術が開発される前までは、むしろ辛口のワインの方が多かったといえます。

今日は、微生物の管理が比較的容易に行えるようになったので、甘口も多く生産されるようになり、ドイツワイン生産量の約半分をしめています。

辛口のワインをお探しの方は、エティケット(ワインのラベル)にtrocken(トロッケン)と書いてあるものを、中辛のワインならばhalbtrocken(ハルプトロッケン)、feinherb(ファインヘァプ)と書いてある物をお探しください。また、2000年以降はClassic(クラシック)、Selection(セレクション)という新しい辛口ワインのクラスも出来ました。

甘口はドイツ語で、lieblich(リープリッヒ)、mild(ミルド)、 suess(ズース)と言われていますが、多くの場合エティケットには書かれていませんので、甘口のワインをお探しの場合は、trocken、 halbtrocken、feinherbもしくは、Classic、Selectionと書いていないものをお選び下さい。

ドイツワイン法では、エティケットに書く事が義務づけられた項目、義務ではないが書いても良い項目を定めています。このtrocken、halbtrockenなどの味わいのタイプは、「義務ではないが書いても良い項目」なので、書かなくても良いのです。多くの醸造所のワインは、消費者のためにこういった味のタイプを記載していますが、ごくまれに「うちは辛口のワインしか造らないから、いちいち味のタイプを書かない!」という醸造所もあります。ですから、trocken、halbtrockenと書いていないから甘口だと思って購入して、いざ開けてみたら辛口だったということもありうるのです。あくまでも、まれな例ですが。

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ビンの底にキラキラした結晶が。不良品?
高級なワインを飲むと、瓶の底にキラキラした結晶が少したまっていることがあります。ガラスの破片が入っていたとか、甘口のワインにそれが入っていると砂糖がたまっていたとか思われる方もいるようですが、この結晶は、ガラスの破片でも、砂糖の固まりでもありません。
これは酒石と呼ばれるもので、主にワイン中の酒石酸とカリウムが結合して出来たものです。

酒石酸は、ワインに含まれる酸の主成分の一つで、カリウムはミネラルです。つまりミネラル分に富んだワインには、酒石が沈殿する可能性が高いのです。
酒石は、無味無臭で、そのまま飲んでも体に害はありません。

リープフラオミルヒなどの量産ワインで、酒石を見かけた方はいないと思います。これはなぜかというと、事前に酒石を取り除き、市場に出しているからなのです。やはり、酒石を見たことがない方が酒石を見ると、不良品だと思うことも多いらしいので、量産ワインは短い時間、急激にワインを冷やし、酒石を人工的に析出させてから、瓶に詰めています。
酒石は、充分に熟したミネラル分に富んだぶどうから作られた高級ワインの証ともいえます。決して不良品ではありません。

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ワインを飲むとき、どうしてグラスをまわすの?
ワイングラスを手に持って、またはテーブルに置いて、ゆっくりと円を描くように回している光景は、側で見ているとなんとも優雅です。時折それを口許まで運んでは深く香りを吸い込んで、満足そうにうなずく。いかにも「通」といった印象を与えるポーズですが、勿論ただのポーズなんかではありません。これにはちゃんとした理由があるのです。ワインを飲む際によく「香りを楽しむ」とか、「味を楽しむ」とか言います。

そこでまず一つ質問ですが、それではこの「香り」や「味」は、それぞれ五感のうちのどの感覚で楽しみますか?「勿論、香りは嗅覚、味は味覚だ。」ほとんどの方はそうお答えになると思います。ついでにもう一つ質問しますが、それではそれぞれ体のどの器官で楽しみますか?「香りは鼻で、味は舌でしょう。」そんなことは小さな子供でも知っていることだと思われた方、残念ながら、あなたの答えは半分間違っています。

「半分違う」というのは、つまり、「香り」に関してはどちらの答えも正解ですが、「味」に関しては両方とも不正解なのです。私達が普段「味」と呼んでいるものは、実は、決して味覚や舌だけで感じているものではありません。何かの味をみる時には、必ず嗅覚と鼻も一緒に働いています。その証拠に、鼻をつまんでものを食べると、味がよくわからなくなりますよね。「あぁ、そう言われてみれば・・・。」風邪を引いて鼻がよく通らない時などに誰でも経験していることなのですが、「味」を「鼻」で感じているとはあまり意識しないものです。人間の舌で感じ分けることの出来る味は、基本的に「甘い」、「塩辛い」、「酸っぱい」、そして「苦い」の4種類だけしかありません。これら4種の味の組合せで多少バラエティ-は広がりますが、これ以外の味は舌では一切区別することができないのです。「フルーティーな味」とか、もっと具体的に「リンゴのような味」とかいう表現は、全て鼻で感じとった香りの要素が加わっている表現です。つまり、香りという要素が加わらなければ、「○○みたいな」という表現はできず、どんな味も「これくらい甘くて、このくらい酸っぱくて、それに少し苦みが加わったような」といった非常に分かりづらい説明になってしまうのです。勿論、食べた時の感触や温度、また炭酸を飲んだ時のような刺激なども舌で感じとることができますが、こうした舌の感度は鼻と比べてしまうと足元にも及びません。

人間の嗅覚は犬などと比べるとかなり劣りますが、それでもなんとおよそ4000種類の香りを感じとり、しかも区別することが出来るのだそうです。これだけ様々な香りが、それぞれ色々な濃度で組合わさり、更に複雑なニュアンスを生み出すわけですから、味覚の世界で香りがとても大きな役割を担っているということもおわかりいただけるでしょう。

さて、香りというのは鼻の奥にある「嗅上皮」という部分で感じとられます。ここには嗅細胞が密集しており、私達が空気と一緒に吸い込んだ香りは嗅上皮に達し、そこでこの嗅細胞を刺激するのです。この「空気と一緒に運ばれてくる」という香りの性質は、つまり「香り」と呼ばれる成分が「揮発性」だということを示しています。

「揮発性の成分」とひとまとめに言っても、中にはすぐに気化して空気中に混ざるものもあれば、なかなか気化しない性質のものもあります。ワインをグラスに注いですぐに感じとれる香りは、香りの中でも特に揮発性の強いものに限られます。そこでグラスを少し回してやると、別な香りが気化して感じとれるようになり、更に強くグラスを回すと、重くてなかなか気化しなかった成分も感じとれるようになるのです。

また、香りにはもう一つ、「口中香」と呼ばれるものがあるのですが、これも忘れてはならない大切な香りです。この口中香というのは、私達が食べ物や飲物を口に入れたときに、それが口内で温められることによって香りの成分の気化が促進され、呑み込んだ後に鼻へ抜けて感じとられる香りのことを言います。食事の際、クンクンと鼻でかがなくても、ものを食べたり飲んだりしながら自然にその香りを感じとることができるのは、この口中香があるためなのです。

ワインの中にはおよそ800種の揮発性の成分が含まれています。ブドウの実の中で作られた香り、発酵の過程で生じた香り、そして熟成によって生まれた香りが複雑に混ざり合うことによって、世界中の数え切れないワインにそれぞれ違ったアロマが誕生します。また1本のワインにも、グラスを回したり、口の中で温めたりすることによって、別の香りを発見することができます。ワインを楽しむ際には、グイッと一気にいってしまわずに、是非この「豊かな香りの世界」を探険してみてください。

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